長湯温泉Ⅲ 自然湧出温泉 大分県の天然記念物 地質鉱物

●名称
長湯温泉Ⅲ 自然湧出温泉
●所在地
竹田市直入町長湯
● 地形図幅名
国土地理院2.5万分の1 「朝地」

自然湧出温泉の概説

芹川沿いの老野橋周辺から鍵小野橋辺りの河床にMgCa-炭酸水素塩泉が自然湧出している。
● 詳細説明
温泉の湧出の仕方は、自然湧出、自噴、動力噴の三種類がある。自然湧出は自然のままに湧出している温泉であり、自噴は掘削(ボーリング)後ポンプを使用することなく湧出している温泉であり、動力噴は掘削後ポンプを使用して温泉をくみ上げている温泉である。

阿蘇4火砕流堆積物の亀裂から自然湧出する温泉 白く見えるものがガス成分褐色の付着物質は石灰華

阿蘇4火砕流堆積物の亀裂から自然湧出する温泉 白く見えるものがガス成分褐色の付着物質は石灰華

長湯温泉の場合、自噴あるいは動力噴であるが、自噴による温泉利用はない。しかし、芹川の河床では、自然湧出しているところが多数ある。河床の阿蘇4火砕流堆積物の亀裂部分から25℃から30℃程度の、MgCa-炭酸水素塩泉が湧出している。亀裂部分は石灰華により茶褐色に着色し、阿蘇4火砕流堆積物の窪みには、温泉水が溜まっている。

噴水状に自然湧出する温泉泉温25℃ 阿蘇4火砕流堆積物が温泉滞留層に圧力をかけて、押し出している。

噴水状に自然湧出する温泉泉温25℃ 阿蘇4火砕流堆積物が温泉滞留層に圧力をかけて、押し出している。

30cm 程度ではあるが、温泉水が噴水状に吹き上げている箇所もある。水中に湧出口がある場所は、気泡が観察できるので、判別できる。最大の湧出孔は、水中にあり、径5cm 程度あり、30℃前後の温泉水が湧出している。
河床の所々に石積みの後があり、地域の人の話では、過去に露天風呂として利用していたとのことである。
自然湧出泉によりできたにごり湯 遊歩道から川床に降り立ったところの今市火砕流 堆積物 小さい滝がある

自然湧出泉によりできたにごり湯 遊歩道から川床に降り立ったところの今市火砕流堆積物 小さい滝がある

自然湧出温泉の現況

河川改修工事により一部堤防が築かれているが、自然状態がほぼ保たれている。
● 文化財としての指定状況
未指定
● 自然公園としての規制
神角寺芹川県立自然公園区域
●ランク
Ⅲ(大分県を代表する)
*長湯温泉としてⅣ(日本を代表する)

●参考文献等
西日本技術開発株式会社(1997):長湯温泉賦存量調査報告書,大分県直入町
●記入者
工藤幸久

出典:大分県の天然記念物(地質鉱物)
天然記念物緊急調査(地質鉱物)報告書
2010 大分県教育委員会

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