長湯温泉Ⅱ 石灰華 せっかいか 大分県の天然記念物 地質鉱物

●名称
長湯温泉 Ⅱ 石灰華 ながゆおんせん せっかいか
●所在地
竹田市直入町長湯
● 地形図幅名
国土地理院2.5万分の1 「朝地」「久住」

石灰華の概説

長湯温泉に多量に含まれるカルシウム成分は石灰華をつくり、独特の景観を呈している。
● 詳細説明

石灰華柱(山の湯かず代) 小川をせき止めるので年に何回かの除去作業をする

石灰華柱(山の湯かず代) 小川をせき止めるので年に何回かの除去作業をする

長湯温泉の温泉水は断層を通って上昇してきた熱水と、大船山山頂周辺に降った天水起源の地下水とが混ざり合ったものである。熱水は沈み込む海性塩中のカルシウムを、地下水は岩石成分をイオンとして溶かしこんでいる。温泉水が地表に出るとこれらが炭酸カルシウム(アラゴナイト、カルサイト)になって沈殿する。また、シアノバクテイア(藍藻類)によっても沈殿する。この沈殿物を石灰華と呼んでいる。芹川河岸には、温泉の排出口が多数あり、そこに石灰華が生成し、石灰華柱を形成している。川幅が狭いところでは石灰華が巨大化すると川をせきとめるので、年に何回が除去作業をしている。

浴槽の壁についた石灰華(民宿「郷の湯」) 湧出量や成分の日変化により層ができる

浴槽の壁についた石灰華(民宿「郷の湯」)
湧出量や成分の日変化により層ができる

石灰華の地層(高さ約3m) 過去の温泉活動の跡石灰華ドーム

石灰華の地層(高さ約3m)
過去の温泉活動の跡石灰華ドーム

芹川上流に七里田温泉「木の葉の湯」がある。泉質は長湯温泉と同質である。この周辺では過去に石灰華が厚く堆積し石灰華ドームが形成していたが、残念ながら耕地整理により、大半が破壊され除去された。しかし、現在も一部分の露頭が残されている。

石灰華の現況

長湯温泉芹川両岸の温泉排水口のいたるところで観察されるが、時々清掃により除去される。
● 文化財としての指定状況
未指定
● 自然公園としての規制
神角寺芹川県立自然公園区域
●ランク
Ⅳ(日本を代表する)

●参考文献等
日本温泉科学会編(2005):温泉学入門-温泉への誘い-,新コロナシリーズ.コロナ社,128p.
●記入者
工藤幸久・高石光治

出典:大分県の天然記念物(地質鉱物)
天然記念物緊急調査(地質鉱物)報告書
2010 大分県教育委員会


長湯温泉 Japanの長湯温泉 大分県の天然記念物関連ページ

長湯流紋岩(ながゆりゅうもんがん) 大分県の天然記念物 地質鉱物
http://nagayu-onsen.jp/archives/102/

長湯温泉Ⅰ温泉水 大分県の天然記念物 地質鉱物
http://nagayu-onsen.jp/archives/113/

長湯温泉Ⅱ 石灰華 せっかいか 大分県の天然記念物 地質鉱物
http://nagayu-onsen.jp/archives/121/

長湯温泉Ⅲ 自然湧出温泉 大分県の天然記念物 地質鉱物
http://nagayu-onsen.jp/archives/128/

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