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長湯流紋岩(ながゆりゅうもんがん) 大分県の天然記念物 地質鉱物

長湯流紋岩
●所在地
竹田市直入町上峠、中峠、本峠
●地形図幅名
国土地理院2.5万分の1 「大船山」

長湯流紋岩の概説

大分県竹田市と由布市との境にあり、東西に連なるメサ(差別侵食によって形成されたテーブル状の台地のことで、「卓状台地」とも呼ばれる)である。流紋岩及び軽石凝灰岩、一部溶結凝灰岩である。

● 詳細説明

長湯流紋岩からなる山―― 上峠、中峠の一部

黒岳の東方のメサである。下位に中峠軽石流からなる台地があり、その上位の台地が上峠流紋岩と本峠熱雲堆積物からなっている。上峠流紋岩と本峠熱雲堆積物はメサの上位を形成しているのみであるが、中峠軽石流は南方の古屋敷にも、小分布があるなど広い範囲に堆積し、岩相も軽石凝灰岩、溶結凝灰岩と多様である。

上峠流紋岩の下部 板状節理が発達している

三尾峠の8合目付近では軽石砂層と降下軽石堆積物がある。この中には黒曜石、赤色火山ガラスを多量に含む層がある。これらのメサの南方に長湯温泉が湧出している。

中峠軽石流中の軽石砂層  黒曜石、赤色ガラスを含む

長湯の温泉水は長湯流紋岩中を大船山方向から七里田、長野、湯原へとゆっくりと流動し、大分-熊本構造線にぶつかり上昇し湧出している。流動中にこの岩石から温泉成分を取り込み、多様なイオンを含む、MgCa-炭酸水素塩泉を形成している。

長湯流紋岩の現況

大部分が草木に覆われているが、山頂付近の岩壁で観察できる。
● 文化財としての指定状況
未指定
● 自然公園としての規制
なし
●ランク
Ⅲ(大分県を代表する)

●参考文献等
小野晃司(1963):5万分の1地質図幅「久住」および同説明書.地質調査所,106p.
●記入者
工藤幸久

出典:大分県の天然記念物(地質鉱物)
天然記念物緊急調査(地質鉱物)報告書
2010 大分県教育委員会